看護師として就職を考えると民間病院や国立病院など選ぶことができます。そして、看護師は勤務先によって年収や待遇が変わることがあります。
そのなかでも国立病院で働くことを考えたことはあるでしょうか。
国立病院は厚生労働省が運営している施設の他にも国立病院機構という独立行政法人にも移行しています。
国立病院で勤務する際に気になるのは年収がどうなるのでしょう。国立病院の年収事情についてご紹介します。
目次
国立病院の看護師の平均年収
2017年の国立病院で働く看護師の平均年収は489万4,000円です。ボーナスの平均額は122万円です。
これに加えて夜勤手当、残業代も支払われるため高くなること見積もってよいでしょう。
看護師のモデル給与
年齢 役職 | 月額 年間給与 |
22歳 大卒初任給 | 212,000円 343万5,000円 |
35歳 本部係長 配偶者・子供1人 | 346,000円 561万2,000円 |
45歳 本部課長 配偶者・子供2人 | 59,7000円 966万4,000円 |
国立病院の初年度の月収はいくら?
国立病院の平均年収は平成30年では以下の通りになっています。
・看護師 大学卒 206,400円程度
・看護師 短大3卒 197,100円程度
・看護師 短大2卒 188,800円程度
・助産師 209,200円程度
国立病院の昇給は年1回となっています。
国立病院の看護師の手当は?
看護師も基本給に加えて住居手当や通勤手当も付与されます。
就職するときは諸手当も見過ごせないポイントです。
夜勤手当
夜勤の仕事は看護師なら必ず携わる業務です。夜に起きねばならず大変な業務ですが、夜勤は必ず手当が発生します。
夜勤手当は2交替夜勤1回につき概ね10,000円、3交替夜勤1回につき概ね5,000円となっています。
看護師全体の夜勤手当と比較しても国立と民間を比較しても支給額に違いはありません。
専門看護手当
専門看護手当というのは特別な資格を持っている看護師への手当です。
専門看護師は月額5,000円、認定看護師は月額3,000円になっており年収がアップします。
専門看護手当を貰うために資格を勉強する看護師もいるので、興味ある方は取得を検討してみてください。
住居手当
国立病院で働く看護師も住居手当を受け取ることができます。
しかし、誰にでも住居手当は支給されるのではなく2つ条件が課せられています。
・自ら居住するために住宅を借りており、月額12,000円を超える家賃を払う職員
・単身赴任手当を支給される職員で、配偶者が居住するために住宅を借り入れて月額12,000円を超える家賃を払っているもの
この条件が課せられていますが、クリアすれば最高月額27,000円を受け取ることができます。
民間病院には住居手当が家賃の半額という病院もあるようです。
退職金
退職金は辞職した看護師に払う手当です。病院によってはないこともあるので、チェックしておきたいです。
国立の看護師の場合は退職金が平均の看護師より少し多く支給されます。長期にわたって勤めようと考えている方には国立病院の看護師はピッタリと言えます。
看護師の平均退職金の計算方法は病院によってことなります。主に以下のような計算方法を採用しているようです。
・基本給×勤続年数
・基本給×勤続年数×功績倍率
・固定給×勤続年数
初めに看護師全体の平均退職金を見てみましょう。
・勤続3年で20万円
・勤続5年で50万円〜100万円
・勤続10年で200万円〜400万円
となっています。1年でおよそ10万円〜20万円とかんがえてよいでしょう。
次に国立病院の看護師が貰える退職金はこのようになっています。
・勤続年数3年で323,065円
・勤続年数5年で545,751円
・勤続年数10年で1,128,564円(10年以降は調整額)
となっています。10年以降は調整額が支給され増額するようです。
国立の看護師の比較
国立病院と民間の病院を比較すると両者の違いが見えてくるはずです。
迷っている方はそれぞれの特徴を掴んで考えてみましょう。
国立病院は年収が安定する
国立と私立の病院の大きな違いは年収の安定度です。
国立病院に勤務している看護師は準公務員の扱いになるので、給料は安定しています。
私立の病院は経営状況により年収が上下することがあるので、業績により下がってしまう可能性があります。一方で病院の経営状況が良い場合は、国立病院の年収よりも高くなることがあります。
安定した病院で働きたい方は国立の病院、安定はしないけど給料が上下する私立の病院を選ぶとよいでしょう。
大学病院の看護師と比較
大学病院で務める看護師は通常の病院と業務内容が異なり、研修会や学会、珍しい症例を通して先端医療の知識を得ることができます。
一般的な治療は国立病院、先端の医療は大学病院がおすすめです。
また、民間の病院では看護師の仕事内容よりも介護士に近くなってしまいます。採血、点滴、栄養チューブも医者が行い、トイレ介助や歩行介助などを看護師が行うため看護の仕事がメインではありません。
純粋に看護師の業務を行いたい方は大学病院ではなく国立または私立の病院がおすすめです。
国立病院で働くメリット
国立病院で働くメリットをいくつか紹介します。
年収が安定する
国立病院は国が運営しており年収が経済状況に左右されることはありません。たとえ、病院の業績が悪くても年収が下がることはありません。
国が運営しているため国立病院が業績悪くても倒産することはほぼありえません。
看護師のなかでもかなり安定した年収を手に入れることができます。
研修が充実している
どの病院でも新しく来た看護師には教育をほどこします。
プリセプター制度が看護師の新人教育の一環として導入されています。
国立病院でもプリセプター制度が整備され、先輩看護師が新人看護師に1人ひとりに教育を行います。
国立病院ではアクティナースという制度があります。
国立病院全体で教育制度を標準化した看護職員能力開発プログラムを設けて、5年後になるまで支援する教育体制があります。
そのなかでも5年研修期間を設ける病院は珍しいといえます。
1〜2年には病院に適応するため、看護能力の開発をします。
3〜4年目には適正に応じて技術の習得、後輩の支援、不測の事態にも対応できる能力を培います。
5年目には看護師のチームリーダーとして働き、看護師のロールモデルになれるまで教育をします。
国立病院で働くとき気を付けること
国立病院の看護師で働くときにはいくつかメリットはありますが、一方でデメリットも存在します。
就職する前に気を付ける点を確認しておきましょう。
扱いは準公務員
国立病院とはいえ働いている看護師は「準公務員」に該当します。
公務員としては扱われないため「公務員」になることを目指しての就職はやめておきましょう。
年収が上がらない
よく言えば年収が安定しており、悪く言えば年収は上がりません。
民間病院と比べて国立病院は最初の給料は低く設定されているので、長期勤務をしなければ給料はなかなか上がりません。
臨時ボーナスがないため民間より年収は少し劣るでしょう。
国立病院に入るためには?
国立病院の看護師は年収が高く、安定しているため看護師の間でも人気です。
そんな国立病院は日本の病院全体の3%しか占めておらず見つけにくいと思います。
どのようにすれば国立病院の看護師になれるのかご紹介していきます。
特別な資格は必要?
国立病院だから特別な資格や経験が必要とされることはありません。
応募方法や必要書類は病院によって異なるので、確認を必ずしておきましょう。
一般的に最初に書類選考が行われます。書類選考が通ると次に面接があります。面接の日程は書類選考を通過後に連絡がくるので予定を空けておきましょう。病院によっては800字〜1,000字程度の小論文の試験を出す病院があるため準備をしておきましょう。
准看護師として勤務できるの?
採用情報を見てもわからないことがあるので、病院に直接電話して確認するようにしましょう。
准看護師も正看護師も仕事に違いはありませんが、准看護師だけで制限が加わる場合もあります。
病院の募集条項では「看護師資格を有していること」の記載がありますが、正看護師なのか准看護師を指しているのかわからないことがあります。准看護師でも大丈夫だと思って応募したら正看護師のみということもあるそうです。
倍率は高い?
国立病院の看護師は応募が多く、倍率は高いと言われています。
その理由として年収が高く、手当や福利厚生が充実しているためと考えられます。
諸手当は救急呼出待機手当、住居手当、通勤手当、地域手当、ボーナスが支給されます。
休暇制度も整備されており、介護休暇、育児休業、妊産婦に対して業務軽減されます。院内に保育所が設置されてお子さんがいる看護師も働きやすい環境になっています。
また、東京エリアは倍率が高く地方は低くなり地域手当が付与されます。
東京エリアの国立病院で働きたい方は面接や小論文をしっかり用意する必要があります。
転職サイト
民間病院のみならず国立病院も転職サイトに看護師の求人を掲載しています。友人や知人に紹介されることもありますが、年収や待遇など情報が不明瞭なのでおすすめできません。
転職サイトでは年収、労働環境、職場の雰囲気などをエージェントに相談して、あなたの希望にあった条件を紹介してくれます。
まとめ
国立病院の看護師だからといって年収が特別高くも低くもなりません。
初年度の年収が低いのはネックですが、長期的に働きたいと考える場合は給料が安定、退職金は確実にもらえる、定年までほぼ確実に働けるという条件のいい就職だといえます。
高い年収を狙いたい方は経営状態が良い民間の病院がおすすめです。
どちらが自分に向いているのかご検討してみてください。